吹っ切れない記録

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淀んだ白の君は、晴れやかな灰となって石の中に眠った。
凍る程の空気刺され、空から叩きつける欠片が私に追い打ちをかける、そんな蒼い闇の夜。
――幾月が過ぎたか、最早数えるのもやめた。そんなときにふっと空を見上げると、空から満天の光が零れていた。高い場所を求めて登ってひたすらに願いを唱えた。
そしてふっと下を見ると、地に咲く灯がそこかしこに花開いた。彼の人も空の上からこの灯を見ているのだろうか。
私には彼の人を忘れることが出来そうにない。星に願いをかけても、二度と会うことは出来ない、なんていうのは分かっている。
年老いて逝けば会える。でもそれまでの年月すら惜しい。

灯の中に飛び込む寸前に約束を思い出す。

「絶対に後を追わないで、天寿をまっとうして。大丈夫よ、どんなに老いても私には一目で貴方が分かるから。会えたら思い出一杯聞かせて貰うからね」
――そしてノートに今日を記録するのだ。
その他
公開:20/12/21 20:20
更新:20/12/25 20:11
思い付いたフレーズを使ってみた

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

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