0
1
「これ、もっていき」
それは、おせんべいに見えた。駄菓子のうすやきせんべいに似ている。
「これを鹿さんに会ったらあげな」
「それって鹿せんべいじゃ」
おばさんは、いかつい顔を左右に揺する。
私はなんだかゾッとした。深夜、なんとなく好奇心で、せっかくの奈良旅行だから、真っ暗な神社の写真でも撮ってインスタ映え! なんて思い立ち、今、深夜2時過ぎ。
おばさんは、厚いダウンに顔半分をうずめながら、鳥居の傍らに立っていたひとだ。
「…えっと。お代金は、いくらですか」
「いらんよ。はよ、行け」
急に嫌になったけれど、おばさんの目があるから、引き返せなかった。
鳥居をくぐると、そこは――
まっしろな、白と黒が反転したモノクロ世界だった。
ここから先の記憶は全然ない。けど、ドス黒の鹿がいて、鹿せんべいをあげた気がする。なんだか朝がきた。
二度と、深夜の神社には行けません。怖。
それは、おせんべいに見えた。駄菓子のうすやきせんべいに似ている。
「これを鹿さんに会ったらあげな」
「それって鹿せんべいじゃ」
おばさんは、いかつい顔を左右に揺する。
私はなんだかゾッとした。深夜、なんとなく好奇心で、せっかくの奈良旅行だから、真っ暗な神社の写真でも撮ってインスタ映え! なんて思い立ち、今、深夜2時過ぎ。
おばさんは、厚いダウンに顔半分をうずめながら、鳥居の傍らに立っていたひとだ。
「…えっと。お代金は、いくらですか」
「いらんよ。はよ、行け」
急に嫌になったけれど、おばさんの目があるから、引き返せなかった。
鳥居をくぐると、そこは――
まっしろな、白と黒が反転したモノクロ世界だった。
ここから先の記憶は全然ない。けど、ドス黒の鹿がいて、鹿せんべいをあげた気がする。なんだか朝がきた。
二度と、深夜の神社には行けません。怖。
ファンタジー
公開:20/12/20 02:51
更新:20/12/20 03:01
更新:20/12/20 03:01
奇怪
奇妙な話
しんざんもの。ショートショートたのしいです。
noteでも500字~2000字くらいの短編をよく書いてます。
https://note.com/ebiebi3no3
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます