時間のつぼみ

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魔女である私は九百年目にして初めて結婚をしてみた。
私は超美人だ。世の男が放ってはおかない。
だが年上すぎる事がネックだったようだ。これまで浮いた話は一つもなかった。
だがそんな私に求愛してくる男がいた。面白い。暇潰しにはなるだろう。
実際、男と一緒に過ごす日々は楽しかった。男の変化ですら最初は愛おしかった。
それが怖くなってきたのはいつからだろう?
私は魔女の秘術、不老長寿の時間の蕾を男に差し出す。これを使えば百年若さと寿命が保たれる。
男はそれを拒否した。
男は変化を楽しんでいた。私は変化を恐れていた。
男は老衰で亡くなった。私は不老長寿を悔やんだ。
男と一緒に年老いたかった。男と限りある時間をもっと過ごしたかった。
私には時間がありすぎた。だから無駄遣いばかりしていた。
私は時間の蕾を全て燃やした。それでもあと百年は生きるだろう。
私は死ぬ迄に男の生まれ変わりに会いたいと強く願った。
ファンタジー
公開:20/12/19 19:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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