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インドは主に熱帯に属し、北部に分布する山岳地帯を除いて気温が氷点下まで下がらない。そのため、インド人の多くは生まれて一度も雪を見たことが無い。それは祖国を離れてシンガポールに住み、S&P500に名を連ねるある有名商社に勤めるアーユシにとっても例外では無かった。
もう5年も前の事だが、その冬アーユシは幹部候補者を対象にした研修に参加するため東京で過ごしていた。そしてその時偶然にも雪が降った。それは東京近郊に住む我々にとってはただただ厄介な存在だったが、生まれて初めて雪を見る彼女にとっては奇跡的な出来事だった。
歩道に舞い降りようとする雪を手に取り、アーユシは「雪って本当に冷たいのね」と呟いた。当たり前である。しかしそんな当たり前の事も、知識として知るのと体験するのでは大きく違う。
オフィスにいる時はほとんど笑わない彼女が、不意に降り始めた雪を前に、満面の笑みを浮かべてはしゃいでいた。
もう5年も前の事だが、その冬アーユシは幹部候補者を対象にした研修に参加するため東京で過ごしていた。そしてその時偶然にも雪が降った。それは東京近郊に住む我々にとってはただただ厄介な存在だったが、生まれて初めて雪を見る彼女にとっては奇跡的な出来事だった。
歩道に舞い降りようとする雪を手に取り、アーユシは「雪って本当に冷たいのね」と呟いた。当たり前である。しかしそんな当たり前の事も、知識として知るのと体験するのでは大きく違う。
オフィスにいる時はほとんど笑わない彼女が、不意に降り始めた雪を前に、満面の笑みを浮かべてはしゃいでいた。
その他
公開:20/12/20 19:00
#雪
#シンガポール
#初体験
#インド人
#不意な出来事
#東京
写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)
投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)
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