自粛警察と悪ガキ

「んだっ、ごるぁあ！　てめえ、なめてんのか？」

路地裏に響く怒声。いかにも頭の悪そうなガキがメガネの少年を脅している。悪ガキはマスクをあごにかけて大声を出しているところだった。

「す、す、すみません。もういいですか？　ぼく、早く塾に行かないと……」

「てめえ、今どういう状況下わかってんのかっ？」

そこへひとりの老婆が現れた。

「待ちな、そこの若いの！」

「んだ、てめえは？　ババアに用はねえ。とっととうせやがれ！」

すると、老婆は一瞬で移動して悪ガキの懐に入り膝蹴りをくらわす。

「ぐげええええ！」

情けなく崩れ落ちる悪ガキ。

「このハナタレがっ！　あたしに楯突こうなんて100年はええんだよっ！」

その頭に蹴りを入れる老婆。

「ぐふっ」

「若造、よく聞きな。今はコロナウイルスが蔓延してるんだ。マスクはちゃんと鼻まで隠す。それと、大声を出さない！　いいかい？」