海にレターセット
1
2
海に面した街の面汚しが今日も元気に働いている。
「あら、このペットボトルのお茶、ジャスミン茶って書いてあるわ」
レジでそう呟いた淑女はレジに籠を置いたままお茶を交換しに行った。
面汚しは微動だにせず淑女の帰りを待っている。後ろに並んだ人々の苛立ちが音となって聴こえてくる。どこか海鳴りに似ているな、と思った。
「あら、この木工用ボンド、2本買うと割引になるキャンペーンやってるじゃないの。あら〜あんた教えてくれたらよかったのに」
そう呟くとまた淑女はレジを離れた。先程よりさらに音は大きくなって鳴った。日本海のどす黒い海面が盛り上がっている。そこから現れたのは海坊主で、彼は友達を探している。いつも寂しく一人で遊んでいる。彼の考えた遊びはとても面白いのに。
だから今日、いつもの海岸線を歩いて帰るとき、彼に声を掛けてみようと思います。
2020年 冬
海に面した街の面汚しより
「あら、このペットボトルのお茶、ジャスミン茶って書いてあるわ」
レジでそう呟いた淑女はレジに籠を置いたままお茶を交換しに行った。
面汚しは微動だにせず淑女の帰りを待っている。後ろに並んだ人々の苛立ちが音となって聴こえてくる。どこか海鳴りに似ているな、と思った。
「あら、この木工用ボンド、2本買うと割引になるキャンペーンやってるじゃないの。あら〜あんた教えてくれたらよかったのに」
そう呟くとまた淑女はレジを離れた。先程よりさらに音は大きくなって鳴った。日本海のどす黒い海面が盛り上がっている。そこから現れたのは海坊主で、彼は友達を探している。いつも寂しく一人で遊んでいる。彼の考えた遊びはとても面白いのに。
だから今日、いつもの海岸線を歩いて帰るとき、彼に声を掛けてみようと思います。
2020年 冬
海に面した街の面汚しより
その他
公開:20/12/18 15:42
ログインするとコメントを投稿できます