魂込めて

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 1年前、月刊ミステリープラモデルというものを注文した。毎月一枚、ランナーが送られてくる。初めのうちは何が組み上がるか分からないが、作っていくうちにだんだんと完成像が分かってくるというものだ。少し前に亡くなった著名な原型師の最後の作品という事もあり、マニア垂涎の品だ。
 初めて商品が到着した時は一体何が出来るのか全く分からなかった。というのも、このプラモデルのパーツはロボットのような角張ったものではなく、丸みがあった。表面には鱗の様な緻密な凹凸がある。しかも触れるとほんのり暖かいのだ。
 現在、11枚ものランナーから切り離されたパーツが組み上がり、全体像も見えた。これは竜のプラモデルだ。
 そして今月、最後のパーツが送られてきた。竜の頭部だ。丁寧に組んでいく。最後に、目の部分が白目のままだったので、マーカーで黒目を入れた。すると途端に竜が舞い上がり、窓から逃げ出してしまった。
ファンタジー
公開:20/12/19 14:22

じょに

思いついたことを書いていきます。よろしくお願いします。

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