主役は僕

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脇役。モブ。
そんな言葉が似合っていると自負している。隅で大人しくしてるのが性に合ってるし、所謂カースト上位ってやつらみたいに、みんなの中心になろうとも、なりたいとも思わなかった。
だから、演劇部の先生に「ちょっとやってみないか?」って言われた時も、エキストラが足りないのかな、ぐらいにしか思わなかったんだ。
なのに、
「主役とか聞いてないですけど!?」
「言ってないからな」
「ちょっと!?」
「たまには良いだろ。何事も経験、経験」
目立ちたくない。大きな声を出すのも苦手。そもそも、こんな僕が舞台に立ったって、映えやしないのに。
そう文句を言うと、先生は「そうだな」と言った。
「でも、舞台から見る景色は、中々絶景だぞ。同じ場所に居続けるより、たまには違う場所に立ってみるのも良いじゃないか」
そう言って、僕に台本を押し付ける。

「お前の人生の主役はお前だ。時にははっちゃけたって構わんだろ」
青春
公開:20/12/19 09:33

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