冬物語
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「うう、寒……」
師走の夕方ともなると風が冷たい。ましてや何も遮るもののない田舎の田んぼ道。自転車のハンドルを握る手は感覚がなくなりかけている。
(あれ?こんなところにあった?)
前方に煌々と光る自販機の灯り。少しでも温まりたい僕は、小銭を入れ『あったか~い』缶コーヒーのボタンを押した。
「……なぜわかった?」
いきなり自販機の扉が開き、中から中年男性が現れた。
「ど、どういうこと?」
「兄ちゃん、正解したから……」
よく見ると、自販機の一番下の列だけ『あったか~い』ではなく『あっやし~い』になっている。
「見破られたんなら仕方ねぇ」
「いや、クイズだったの?」
「三択でした」
「『つめた~い』、『あったか~い』、『あっやし~い』……どんな選択肢だよ!」
「正解した兄ちゃんに、賞品です」
「え?コーヒー……あったかい!」
「……懐で温めておりました」
「普通のをくれよ!」
師走の夕方ともなると風が冷たい。ましてや何も遮るもののない田舎の田んぼ道。自転車のハンドルを握る手は感覚がなくなりかけている。
(あれ?こんなところにあった?)
前方に煌々と光る自販機の灯り。少しでも温まりたい僕は、小銭を入れ『あったか~い』缶コーヒーのボタンを押した。
「……なぜわかった?」
いきなり自販機の扉が開き、中から中年男性が現れた。
「ど、どういうこと?」
「兄ちゃん、正解したから……」
よく見ると、自販機の一番下の列だけ『あったか~い』ではなく『あっやし~い』になっている。
「見破られたんなら仕方ねぇ」
「いや、クイズだったの?」
「三択でした」
「『つめた~い』、『あったか~い』、『あっやし~い』……どんな選択肢だよ!」
「正解した兄ちゃんに、賞品です」
「え?コーヒー……あったかい!」
「……懐で温めておりました」
「普通のをくれよ!」
その他
公開:20/12/16 22:00
更新:20/12/16 22:05
更新:20/12/16 22:05
むうちゃぶり
自分でもなにがなんだか
30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。
長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。
Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00
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