0.000005%の人

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 心に蓋をし過ぎてもう涙なんて出なくなっていた。辛い事なんて何も無いと思っていたのに。
 

 宝くじの一等が当たる確率は0.000005%らしい。


 みずなはその確率の人と今世で出会ってしまった。過去にも何度も生まれ変わりながら出会っているから再会したと言う。


「助けて」


 その確率の人と今世で再会するには、何度も死ぬしか無かった。そんな目に遭わなければいけないのなら、いっそ出会わなければ良かったのかもしれない。

「愛する私の……運命の人」

 その言葉を唱えると不思議な事に胸が熱くなり、強く抱き締められた。

(――大丈夫……私達はいつも一緒)

 涙が自然と流れていた。

 そうだ。私は一人じゃない。目に見えなくても私の愛する人がいつも側にいてくれる。何で忘れていたんだろう?

 魂から流れたその涙は透明で、脆く、とてもとても優しかった。
恋愛
公開:20/12/17 22:07

凪 里桜( 魔法のあいらんど )

別名で本を出しております。ファンタジーや恋愛物が好きです。よろしくお願いいたします。

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