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私は電車の中で漫画を読んでいた。いよいよ最終巻。連載開始から約二十年。ついにこの瞬間が……!「確か、主人公首つって死ぬんだよ」そのとき、頭上から降ってきた会話。気がついたら私は飛び掛かっていた。たちまち車内は動揺にまみれ、人間たちが私を掴んで暴力を抑え込んだ。「許さん、ネタバレぇ!」吠え狂う私だったが、スーツの男性の一言で動きが止まった。「それ、嘘だよ」「え?」「そうそう、主人公死なないもん」今度は若い女性が。「いや、死ぬよ」「ハッピーエンドさ!」「いや、ハッピーではなかろう」 次々と乗客たちが結末について喋り、私の頭はこんがらがった。「ちょっと、何が本当なのよ!」「読んでみればわかるよ」私は促されるまま席に座って続きを読んだ。「首つって死ぬじゃぇか!」私は叫んで立ち上がった。が、車内は空っぽ。はっとして車窓を覗き込むと、乗客全員が全速力で駅からの脱出を図っている姿が見えた。
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公開:20/12/17 16:19

shomin shinkai( 日本 )

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