勇者とドラゴン

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僕は勇者だ。
僕の役割は悪いドラゴンを倒すこと。伝説の剣と鎧と盾を持って、遂にドラゴンの住処へやってきたのだ。
すると、洞窟の奥から巨大なドラゴンが現れた。けれど、そのドラゴンは、何故だろう。
「…?何だろう。何故、お前からは…」
何故、目の前のドラゴンからは、優しい雰囲気を感じるのだろう。
ドラゴンが話し出した。
『私は、世界を脅かしていたつもりはない。山々の生き物を食らうのも、ただ、生きる為だ』
「でも、皆がお前を悪だと言っていた!」
『そうだ。多くの者が、私を悪だと言った。だから、私は悪になったのだ』

望んだのではない。
皆がそう求めたからだ。

「…ああ、そうか。僕も、そうだ」

僕も、勇者だと言われた。

望んだんじゃない。
皆に求められたから。

だから、僕は、勇者になったんだ。

『何だ。私達は』
「似た者同士じゃないか」

その後、ドラゴンと勇者を見た者は誰も居なかった。
ファンタジー
公開:20/12/17 16:03

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