無欲な男

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神はとある無欲な男の願いを叶えることにした。
「これまで欲にまみれた人間は数多くみてきたがお前は常に無欲で慎ましく生きてきた。
どんな願いでも一つ叶えてやろう」
「とんでもありません。今で充分です」
「ならば何か困っている事はないか。解決してやろう」
「いや本当に結構です」
「私も宣言した手前引けぬのだ。助けると思って打ち明けてみよ」
「ならば…確かに無欲であることが人には特異に映るようで裏がないか勘ぐられたり果ては極意を教授願われたり…
そっとしておいて欲しいのです」
「なるほど、他の人間に施すのは意に合わず、お前に僅かばかりのものを授ける形で解決しようと思うがよいか」
「かまいません。お願いします」
神は杖を振りかざした。
すると男は何かを思い出したように言った。
「先程の願いですが1つありました。まだ間に合いますか」

「よし。お前の問題は解決した」と神は姿を消した。
その他
公開:20/12/15 10:45

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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