笑いの舞台

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私は新人ばかりのお笑いライブを見に来た。
しかしどいつもこいつもちっとも笑えない。
次第に文句を言ってやりたくなった。
素人の私でも、もうちょいマシなコントができるぞと。

ふと気がつくと、なぜか私は舞台の上に立っていた。
あれ、私はなぜこんなところに!?
スポットライトを浴びている。
向かいの観客席からは白々しい冷たい視線。
このひりつく緊張感はなんだ?
とにかく、何か、何か、面白いことを言わなければ!
強迫観念が私の意識を圧迫する。
「え、ええぇ…」
マイクを通して私の声が広がっていった。
言葉が続かない。
「…コント」
何でもいいから言え!
「…蕎麦屋の店主」
変な静寂。
「へいらっしゃい!ご注文は?」
向きを変える。
「ラーメンだって?ウチは蕎麦屋だぞ!こ、この…」
頭は真っ白。
「ら、らめんじゃねえ!」
頼む!
みんな、笑ってくれぇ…!

気がつくと、私はまた観客席に座っていた。
その他
公開:20/12/15 07:46

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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