帽子を見ながら

4
3

形とは何だろう、器にすぎないのではないか。
私とあなたの形、心の形、愛の形。

ショーウィンドウ越しに飾られる彩り豊かな帽子と服のデザインを見ながら、ふとそう思った。

魂にも形があるのかな?
個我の形、わたしが私である形、無意識の形。夢の形。

形を取っ替えたら、きっと中身も変わると思う。でも、中身って…

視線がマネキンの腕に触れながら、指先へと辿っていく。

神の形。言葉の形。願いの形。

真理にも形があるのかな。

でも万遍なく全ての形の中に宿っているものって何だろう。

願いの形、人がヒトである形、理想の社会の形。

形を観て、人はそれが善いものか悪いものかもひっくるめて判断する。

でも、今ある形はこれからも同じカタチじゃない。

朽ちてゆく形、粉になる形、想いの遺った形。
どんな形もいつかは忘れられる、それも案外早く。

寒くなって見上げた空には形に囚われない雲が泳いでいた。
その他
公開:20/12/16 10:20
更新:21/02/27 22:14

水鏡かけら( 日本 )

執筆のリハビリがてらに、書いております。
noteでは、web小説や映画のレビューも書いています。
*アイコンは、むしのいき様@333Musino

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容