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「ゆかり会に参加しませんか?」
僕と聡太は女性に声をかけられた。
「ゆかり会?」
「最適な縁を結ぶんです。私たちは人を集めてマッチングをしています」
彼女の後ろの建物には、縁会と書かれた看板がある。
「あれだ。出会い系的な?」
聡太が茶化すように言った。
「いえいえ。私たちが言う縁というのは恋愛だけじゃないんです。血縁関係、友人関係。全ての関係に縁は存在しています」
「なるほど」
そしてどちらが言い出したのか、僕たちは店に入っていた。
中にはたくさんの個室があるようで、それぞれ別の部屋に通される。
「少々お待ちください。適合者を呼んできますので」
僕はぼんやりと宙を見つめ、縁について考えたりした。
そうして何分が経ったのだろうか。
「あれ?」
と声がして、僕は現実に引き戻された。
入り口には聡太が立っていた。
「お前かい」
僕たちは同じ言葉を口にし、無性に面白くて笑い転げた。
公開:20/12/13 21:07

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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