ミール・チェンジ

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ある風の強い晩のことだった。

いつものように家族で食卓を囲んでいると、急に猫が机の上にあったみそ汁を手に取り、正座して飲み始めた。

一方で、僕たち家族は、キャットフードや肉の骨にかじりついたり、にんじんを冷蔵庫から取り出して、皮ごと食べようとしていた。

それぞれ、沈黙の食卓が流れる。

外では、満月の光がある一帯を輝きで包み込んでいた。

やがて、月が雲に隠れ始めたとき、「って、これキャットフードやないかい!」と僕は吐き出し、父は、肉の骨をかじることをひとまずやめ、母もキャットフードをなぜ食べたのか分からないという顔をし、妹は、にんじんを固物のまま、吐き出した。

猫は、毛玉といっしょにみそ汁を吐き出し、トイレに一目散に駆けていった。

ゲホゲホと家族一同咳き込む中、また月が顔を出そうとしていた。
ファンタジー
公開:20/12/12 17:06
食事 家族

かめれもん★( 和歌山県 )

かめれもん★と申します。
どうぞよろしくお願いします。
これから週1回、作品を投稿していきたいと思います(^^ゞ

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