夢は叶った
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                                絵本の中の、魔法使いに憧れた。
キラキラのドレスを着て踊るお姫様より、王子様とキスをするお姫様より。
困って泣いてるお姫様を助ける魔法使いになりたかった。
「わたし、おおきくなったらまほうつかいになるのよ。それで、こまってるひとをたすけるの」
それが私の口癖で。
でも。
「バカだなーおまえ。まほうなんて、つかえるわけないだろ」
きっと何気無い一言だったのだろう。でも、それは私の心を抉るには充分過ぎて。
私は「魔法使いになりたい」という夢を、口にすることは無くなった。
成長した今なら理解できる。あれはファンタジー。現実に魔法など存在せず、魔法使いなどになれるはずないのだ。
けど。
「…この席、良かったらどうぞ」
そう言うと、大きなお腹の女性はありがとうと笑った。
『こまってるひとをたすけるの』
魔法は使えないけれど、もう一つの夢はいつでも叶えられるので。
今はそれで充分なのです。
    キラキラのドレスを着て踊るお姫様より、王子様とキスをするお姫様より。
困って泣いてるお姫様を助ける魔法使いになりたかった。
「わたし、おおきくなったらまほうつかいになるのよ。それで、こまってるひとをたすけるの」
それが私の口癖で。
でも。
「バカだなーおまえ。まほうなんて、つかえるわけないだろ」
きっと何気無い一言だったのだろう。でも、それは私の心を抉るには充分過ぎて。
私は「魔法使いになりたい」という夢を、口にすることは無くなった。
成長した今なら理解できる。あれはファンタジー。現実に魔法など存在せず、魔法使いなどになれるはずないのだ。
けど。
「…この席、良かったらどうぞ」
そう言うと、大きなお腹の女性はありがとうと笑った。
『こまってるひとをたすけるの』
魔法は使えないけれど、もう一つの夢はいつでも叶えられるので。
今はそれで充分なのです。
        その他
      
      公開:20/12/12 10:31      
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