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六つの年に事故で父を亡くし、その翌年に母は東京の人と再婚をした。勤めていた会社の社長からの紹介だった。再婚相手には三つになる娘がいた。
半年もすると母はよく養父と喧嘩をするようになった。そのほとんどがお互いの連れ子が原因だった。
喧嘩をすると母は決まって僕を連れて寿司屋へ行く。山育ちの母は贅沢な食べ物といえばこの寿司なのだ。
寿司を食べながら養父への恨み言を誰とはなしに話す。そして食べ終わると清々しい顔をして、
「父さんにはないしょだよ」
と、僕に目配せをした。
その他
公開:20/12/12 10:09

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