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虫も本気でやばいと思った。

ある時、人間は生態系を壊さず、虫を必要としない世の中を作ってしまった。
虫は慌てふためいた。

いくつもの月日が過ぎた頃。
絶滅するかと思われた虫は、なんと天下をおさめていた。

でかくなったり強くなったりしたのではなく、「美しく」なったのだ。

すべての虫は、宝石と見間違うほどの輝きを背に持つようになった。
正確には宝石ではないけれど、宝石と見間違う美しさは、時に宝石をも上回る価値を生んだ。

虫は価値が高いので、見つければすぐに捕獲し飾られるようになった。

きらめく虫を使った幻想的なショー。
展示。
あらゆる芸術、ファッション。
インテリア。
虫はもう人間に欠かせない存在となった。

「昔の人たちは、虫をすべて殺虫剤で殺していたんだって。」
「それはもったいないことをしていたね。」

街から虫が消えた。
SF
公開:20/12/13 16:09

御手洗 一貴

普段はTwittertで
画像1枚で物語が完結する『1枚小説』を
自由気ままに書いています。

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