ジャンパー

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 僕の隣の席の子は瞬間移動が可能だ。

 静かな教室。先生の板書の音と、自分たちの作業音だけが響く。
 時計の針が十二時を指した。
 突然破裂音が炸裂し、僕の隣に人間が出現した。机の上に溜まったプリント類が一斉に飛び散り、近所に座っている僕たちも衝撃波で椅子から転げ落ちた。もちろん、あらかじめクッションが置いてある。僕たちはもはや真顔で倒れる境地に達していた。
 遅刻犯は頭を下げる。
「すみません、遅刻しました!」
「おせぇよ!」
 教師側も既に慣れたもので、瞬間移動よりも遅刻を気にする。
「いや、聞いて下さい、九時には起きてたんですよ、ホント!」
「ほう? じゃ、三時間何してたんだ!」
「瞬間移動の準備です!」
「歩いてこいよ!」
「家から学校まで何時間かかると思ってるんですか!」
「五分だろお!」
 
 僕の隣の席の子は瞬間移動が可能だ。
 ただ、瞬間移動の準備に三時間かかる。
SF
公開:20/12/13 15:33

shomin shinkai( 日本 )

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