新開拓の厄災

異動産業が発達してから数ヶ月が経った。
今日も別のグループに配属が決まり気合いの咳払いを一息。変わらぬ建設物でありながら、迸る緊張感で日光の届かない廊下を見て憂いを帯び眉に皺ができる。

今日からお世話になります、と、社交辞令を済ませ業務に入る。
3日間。僕が新兵である故ののべつ幕なしに起こる輪つくり。それぞれの班が品定めをするかのような質疑を投げてくる。その捌きで評価がなされ3日の期間で正式に班が決まる。とはいえ、他のグループを知る僕は、先輩にもなりゆる。それなりの範を示さなければ。

今、ちゃんと笑えているだろうか、そればかりが気にかかる。

ただいま、僕に駆け寄る母は鬱屈した顔を隠しきれずにいた。
どうやら母も輪つくりに難航しているらしい。ふぅ、転勤族の父を持つことは楽では無い。