下校時の友人

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春から夏に移り変わる頃、シュンの姿が日に日に見えにくくなった。
振り向いたり、首を傾げたり。シュンが動作を起こす拍子に、見えなくなる一瞬がある。最初は光の加減かと思った。

シュンとは、俺が春に転校してきてから一緒に帰るようになった。制服は同じだが校内にはいない。他の生徒とは家が逆方向のこの道を通るのは2人だけだ。

そのうち姿の見えている時間の方が、だんだんと短くなった。俺の冗談に笑う声も、風や雨にまぎれてとぎれとぎれになっていった。
梅雨が明けると、シュンは完全に見えなくなった。入道雲がまぶしかった。

いなくなったなぁと思ったが、来年になれば、
またどっから出したんだっていう大量の桜やらたんぽぽやらを、いきなり俺の頭に振りまいてくるような気がした。

あとシュンと入れ替わるように、今度はアオバってやつが声をかけてくるようになった。こいつに会うのも帰り道に限る。
ファンタジー
公開:20/12/13 12:56
更新:20/12/13 13:00

字数を削るから、あえて残した情報から豊かに広がる世界がある気がします。
小さな話を読んでいると、日常に埋もれている何かを、ひとつ取り上げて見てる気分になります。

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