森化する部屋
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夜中にふと目を覚ますと、背中の感触がベッドとは何だか違った。しめった草と土の匂い。虫の声や葉音。頭上に枝が広がっていて、枝の間には星が瞬いている気がする。
はっと起き上がって電気をつけると、何てことはない自分の部屋だ。
この頃、いつもそうだ。
先日、白い壁に傷をつけてしまった。
その時、旅行先の画材店で買った絵具で塗りつぶした。トリックアートみたいに、壁に穴があってその向こうに森が見える絵を描いた。
それからだ。机に向かっていると、後ろで鳥の羽音がする。本棚から本を取りだすと、小さな花のついたつる草が手にひっかかる。
朝いちのシャワーでは、蛇口をひねると魚が飛び出した。洗面器の中をくるっと一回転したかと思うと、シャボン玉のように消えてしまった。
絵を塗りつぶそうかとも思ったが、何もしないことにした。
森の気配だけならいっかと。
窓も開けてないのに、今日もそよ風が耳元を抜けていく。
はっと起き上がって電気をつけると、何てことはない自分の部屋だ。
この頃、いつもそうだ。
先日、白い壁に傷をつけてしまった。
その時、旅行先の画材店で買った絵具で塗りつぶした。トリックアートみたいに、壁に穴があってその向こうに森が見える絵を描いた。
それからだ。机に向かっていると、後ろで鳥の羽音がする。本棚から本を取りだすと、小さな花のついたつる草が手にひっかかる。
朝いちのシャワーでは、蛇口をひねると魚が飛び出した。洗面器の中をくるっと一回転したかと思うと、シャボン玉のように消えてしまった。
絵を塗りつぶそうかとも思ったが、何もしないことにした。
森の気配だけならいっかと。
窓も開けてないのに、今日もそよ風が耳元を抜けていく。
ファンタジー
公開:20/12/13 12:50
森
絵
部屋
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