あわてんぼうのサンタクロース

14
9

とあるボランティア団体に所属している私は、孤児院の子供たちと交流する役目を押しつけられた。
あがり症で人見知りの私に務まるものなのだろうか。

当日になり、私はサンタクロースの恰好をし、プレゼントを入れた袋をかついだ。

「じゃあ、合図とともに出てきてくださいねー」
合図なんてなくていい。と思うが現実は非情で、すぐ私の出番がくる。

慌てて舞台から出るが、足がもつれてそのままバターン! と前のめりに倒れる。
子供たちの驚いた顔が一斉にこちらを向いている。いやだ、帰りたい。

その後もトークは間違えるわ。ダンスでまた盛大にこけるわで散々な一日だった。

そんな私に後日、孤児院からの手紙が届く。
なんでも子供たちは「サンタさんってあわてんぼうなんだね!」「面白いね!」と大うけだったらしい。
こんな楽しいクリスマスははじめてです。と書かれていた。

文字がにじむ中、何度も手紙を読み返した。
青春
公開:20/12/13 08:44
更新:20/12/13 08:47

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
コメントを頂けると励みになります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容