星度計

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寒い真冬、路地裏にある瀟洒な雑貨店を訪れた。
細長い円筒の硝子器の中に、砂のようなものが燦然と輝いていた。「星度計」という名の代物らしい。
店主の説明によると、硝子器の中には漆黒の夜空のような液体が満たされ、さまざまな星屑が密閉されている。温度の高い青色や白色の星々は上に浮き、温度の低い赤色や橙色の星々は下に沈み、中間の温度の黄色の星々は真ん中あたりに漂っている。
まるで「ガリレオ温度計」と呼ばれる浮沈子のようだ。
硝子器の中に入っている液体は、時として不思議な現象を引き起こす。
硝子器の中を雲状の光の帯が横切った。その途端、星々が位置を変えた。
店主に尋ねると、時おり硝子器の中に天の川が現れて、その間だけ星々が温度に関係なく実際に夜空で見られる位置へ移動するという。
すると今度は、いくつもの星々が硝子器の中を放射状に流れでた。
あれは確か、十二月の中旬に現れる双子座流星群ではなかったか。
その他
公開:20/12/13 07:01
更新:20/12/13 07:03
真冬 雑貨店 円筒 硝子器 ガリレオ温度計 浮沈子 天の川 放射状 双子座流星群

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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