禁断のスリーピース

私は追い詰められている。右手には娘。左手には息子が。

機嫌の虫が悪いらしく、息子はちょっとしたことですぐに泣き出す。スプーンがうまく扱えず、ご飯粒がなかなか掬えないというだけで顔を歪めて唇を震わせている。
娘は食欲が空回りして既に顔面を崩壊させ号泣しながら訴えかけてきている。まだ口に入ってるぜベイビー。

卓上には、三種のカレーライス。
息子のはママと同じ甘口カレー。娘は一歳児用インスタント。ホットペッパーを混ぜたマイ・中辛。

三つのカレメントが集い、いま目の前には混沌の神が降り立っている。

甲高い叫びを上げて息子がまたスプーンを投げ捨てる。テーブルの上に新たな爆撃の跡がこびりつく。なだめながら口に運んでやる。娘が絶叫している。はいはい、と小さな口につっこむ。私だって食べたい！急ぎ口内に放り込むが、味わっている余裕などない。

猫では間に合わない。千手観音！
一本くらい手を貸してよ。