泣き虫王子

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泣き虫王子は泣き虫だ。
すぐに泣くので国民にそう呼ばれていた。
そんな、泣き虫王子を国民は愛していた。
国王が突然、亡くなったときも泣き虫王子は、人目も憚らず号泣した。そんな王子をみんな愛していた。
そして、泣き虫王子が国王を継ぐことになった。
国民は、若き泣き虫王子に国王が務まるのかを心配していた。王になって初めて国民へのスピーチをする日が来た。国民は固唾を飲んで見守った。
その日、王子は、いや新しい王は泣かなかった。その素晴らしいスピーチに、成長した姿に国民は号泣した。
その他
公開:20/12/11 15:28

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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