柿木焼酎

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目を覚まして驚いた。三年前に他界した親父が目の前にいるのだ。
「ああ、柿木焼酎が飲みたいな」
子供のようにそう言った。
「何だよ、それ?」
「柿木焼酎はいい。安くて美味いんだ」
そう言えば親父は安酒しか飲まなかったな。
「よし、買ってきてやるから」
俺はそう言って立ち上がり外に出た。柿木焼酎なんて聞いたこともないが、何だか親父が可哀想になったのだ。
ただ、あてもなく歩いていった。

夢から覚めると当然のことたが親父はいない。暦に目をやると、その日は親父の命日だった。
その他
公開:20/12/11 08:53

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