金色の財宝

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その池の畔にはかつて城があった。戦国の世の大戦で落城し、城主は金の鞍をつけた愛馬と共にこの池に自ら沈んだ。あとを追って愛娘も同じく入水した。この話は今なお語り継がれている。
池に眠る金の鞍の話は人々の心を揺さぶった。昭和の始めには東京府の助成金で池の水をぬいての宝探しを行ったが、金の鞍はついに見つからなかったのである。
この伝説は大正期に活躍した劇作家による創作ではないかと後に噂された。落城後も城主は生存していたという。

終戦間近のこと。防空壕を掘っていた兵士が偶然に金色に輝く物を見つけた。これはきっと城にゆかりのある財宝に違いないと思ったが、敗戦の兆しは色濃く、そうなれば財宝は米軍に取られてしまう、そう考えた兵士は掘り出した物を再び埋めてしまったという。
その他
公開:20/12/11 06:09

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