1
3
「あ! 流れ星だ」
「流れ星を見たときはね、消えてなくなる前にお願いごとをすれば、願いが叶うんだよ」
「えっえっ! あ、もうなくなっちゃった。先に言ってくんないと、わかんないよ」
「そうだね。次のために願い事を考えておこうね」
幼い頃、父に手を引かれ、初めて流れ星というものに遭遇したとき、そう教えられた。
あれから随分と長い年月がたったものだ。私はいま、息子に押される車椅子に座りながら、夜の散歩を楽しんでいる。
「父さん、夜は冷えるだろう。散歩なら暖かい昼間にした方がいいんじゃないか。身体に悪いよ」
「いいんだよ。夜空が好きなんだ。それに、どうせもう先は長くない」
「そんなこと言うなって。病は気から、だぜ。俺の願いは父さんの長生きだけだ」
息子も大きくなったものだ。こうして夜空を見上げると父と見上げた幼い頃を思い出す。
「あ、流れ星じゃん!」
息子はにこやかに何かをつぶやいていた。
「流れ星を見たときはね、消えてなくなる前にお願いごとをすれば、願いが叶うんだよ」
「えっえっ! あ、もうなくなっちゃった。先に言ってくんないと、わかんないよ」
「そうだね。次のために願い事を考えておこうね」
幼い頃、父に手を引かれ、初めて流れ星というものに遭遇したとき、そう教えられた。
あれから随分と長い年月がたったものだ。私はいま、息子に押される車椅子に座りながら、夜の散歩を楽しんでいる。
「父さん、夜は冷えるだろう。散歩なら暖かい昼間にした方がいいんじゃないか。身体に悪いよ」
「いいんだよ。夜空が好きなんだ。それに、どうせもう先は長くない」
「そんなこと言うなって。病は気から、だぜ。俺の願いは父さんの長生きだけだ」
息子も大きくなったものだ。こうして夜空を見上げると父と見上げた幼い頃を思い出す。
「あ、流れ星じゃん!」
息子はにこやかに何かをつぶやいていた。
その他
公開:20/12/12 00:49
ログインするとコメントを投稿できます