0
2
男は怯えていた。彼は哀しい目をしながら、黙って女を見つめていた。
親から莫大な遺産を譲り受け、男は裕福だった。しかし彼には何の才能もなかった。そんな男がある日川沿いを歩いていると、絵を売る女を眼にする。男はその女の絵を手に取った。「落書きに毛が生えた程度だろう。一枚買ってやるか」という気持ちからだった。しかし女の絵を見て男は愕然とする。
「こ、これらは君が描いたのかい?」
「そうよ。あなたの言い値で売るは。いくら?」
その絵から何の才能も無い男は女の持つ才能を敏感に感じ取った。そして男はその時持っていた全ての金を払って、女の絵を購入した。しかしそれでは足りないと思い、女にありとあらゆるモノを与えはじめた。やがて男は女を愛する。いや、それは女自身ではなく、女のもつ才能だったのかもしれない。
「一人にしてって言ったのが聞こえなかったの?」と、女は男に叫ぶ。
翌日、男は一人になった。
親から莫大な遺産を譲り受け、男は裕福だった。しかし彼には何の才能もなかった。そんな男がある日川沿いを歩いていると、絵を売る女を眼にする。男はその女の絵を手に取った。「落書きに毛が生えた程度だろう。一枚買ってやるか」という気持ちからだった。しかし女の絵を見て男は愕然とする。
「こ、これらは君が描いたのかい?」
「そうよ。あなたの言い値で売るは。いくら?」
その絵から何の才能も無い男は女の持つ才能を敏感に感じ取った。そして男はその時持っていた全ての金を払って、女の絵を購入した。しかしそれでは足りないと思い、女にありとあらゆるモノを与えはじめた。やがて男は女を愛する。いや、それは女自身ではなく、女のもつ才能だったのかもしれない。
「一人にしてって言ったのが聞こえなかったの?」と、女は男に叫ぶ。
翌日、男は一人になった。
恋愛
公開:20/12/11 21:00
#別れ
#男の気持ち
#才能を持たない者
#金を持つ者
#金持ち
写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)
投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます