間違ってるよ

教室に怒号が響く。
今にも爆発しそうな顔の教師は、どんな信念を持って生きているのだろう。

児童相談所が介入した虐待家庭にいるあの子。あの子は少し被害妄想が激しい。
今こうして私達が問われているのは、あの子が教師に話したなんの根拠もない''いじめ''の罪だ。
いや、問われてなどいない。
教師には真実などどうでもいいのだろう。
虐待されている可哀想なあの子を守ることが、教師としてのかっこいい姿だと信じているのだ。

どうしてもっと真実を大切にしないのだろう。
どうして発せられた言葉しか聞き取れないのだろう。

私は思う。
(うちのクズ親も見えるところに傷付けてくれたら楽なのに) と。

教室に怒号が響く。
正しさも優しさもない空間で、誰がいちばん可哀想なのか考えてみる。
「あれ?」
いや、いやいや違うんだよ先生。
正しさと優しさがあれば一番なんて決めなくていいの。

教室に、怒号が響く。