「予言者」の未来図

4
4

 「あいつはやめとけ。幼なじみの彼にするんだ」
 「私、小太りで若禿げのおじさんに知り合いいないんですが」
 「……まあ聞け。君は交際半年で、あいつに振られる」
 「何それ?」
 「失意の君を支えるのが彼なんだ」
 「で?」
 「やがて君と彼はつきあい始める」
 「ないない。ヲタクだよ、彼」
 「就活でも支えられ、一流企業へ」
 「ほー」
 「君は順調にキャリアを歩み、五年後に彼と結ばれる。な、あいつとの交際は回り道なんだ」
 「ちなみに彼はどんな仕事に?」
 「独り部屋に籠もって研究に没頭し、画期的な装置を発明するんだ」
 「へえ」
 「だが自らを被験者とした実験で、致命的な欠陥に気づく」
 「どんな?」
 「発明した時空移動機は、過去には行けるが戻れない」
 「あなたもしや?」
 「気づいたか。十五年後の幼なじみだ!」
 「……ごめん。やっぱり向こうと交際し、捨てられない努力をするよ」
SF
公開:20/12/10 00:29

掌編小説( 首都圏 )

Twitterで掌編小説を書いています。本業は別ジャンルの物書きです。好物はうまい棒とダイエットドクターペッパー。
フォロワーさんに「ショートショートガーデン」を教えていただきました。どうぞよろしくお願いします。
Twitter(https://twitter.com/l3osQbTDUSKbInn)は毎日更新しています。
イラストはミカスケさん(https://twitter.com/oekakimikasuke)やノーコピーライトガールさん(https://twitter.com/nocopyrightgirl)の作品です。写真はフリー素材を利用させていただいています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容