たわわに実る

食べかけのねじりパンを埋めてみたら、ネジネジの木が生えてきた。花が咲いて、ねじりパンがたわわに実った。
「すごい！」
試しにクロワッサンも埋めてみた。長い蔦がくるくる伸びて、芋づる式にクロワッサンが収穫できた。
「まさか！」
ドーナツも一つ埋めてみた。輪っかの花がいくつも咲いて、色んな味のドーナツになった。クリームパンにデニッシュ。あんぱんにブリオッシュ。お庭は色んなパンが実って、いい香りが漂ってきた。
「そうだ！」
いいことを思いついた。ぴーちゃんを埋めてみよう。きっとたわわに実って、本当のぴーちゃんに会えるはず。
ぴーちゃんの木はまっすぐ伸びて、たわわに実った。でも動かない。たくさんあるだけで、本当のぴーちゃんはいなかった。
「なんだ」
たくさんあって気持ち悪いから、全部壊して袋に詰めた。
でもお母さんなら、本当のお母さんが実るかもしれない。ナイフを握りしめ、お母さんを迎えに行った。