女中の告白

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 こうして探偵さんにお話することが、真実でございます。
 のっぺらぼうの化け物が、ご主人様と奥様、財産を消したのです。
 はいよるように二人の寝室に現れたのは三日前。
 なぜその夜か? お暇いただいていた女中の私には分かりません。
 しんと静まり返った室内に、何者かの気配がしたそうです。
 はじめに気づかれたのはご主人様。
 うす明かりの中、ベッドから起き上がり、床に視線を向けました。
 その時、獣のような雄叫びをあげ、異形の何かが跳ね上がったのです。
 なんだこれはと目を凝らすと、襲ってきたのは肢体が獣、頭が人の化け物でした。その顔には目鼻口がありません。
 のっぴきならない状況に、ご主人様は戦慄しました。
 ですが、勇気を振るい、奥様をかばおうとしたのです。
 すると化け物は闇に消え、後にはお二人も金品もございませんでした。
 よろしいでしょうか? ゆめゆめ縦読みの詮索はお控え下さい。
ホラー
公開:20/12/09 21:12

掌編小説( 首都圏 )

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イラストはミカスケさん(https://twitter.com/oekakimikasuke)やノーコピーライトガールさん(https://twitter.com/nocopyrightgirl)の作品です。写真はフリー素材を利用させていただいています。

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