夕暮れ自動販売機

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仕事が定時に終わり、後輩を誘って飲みに行こうとしたが断られた。
そういやアイツ、彼女と同棲始めたって言っていたな。そりゃ早く帰りたいか。
そんな後輩が会社の隣の花屋の自販機で何か買っていた。おいおい…早く帰って彼女の手料理を食べるんじゃないのか?
「ええ、その彼女に花束を買って帰るんです」
後輩が自販機から取り出したのは見事な花束だった。
「これでワンコインなんです。安いでしょ?」
安っ!というか、安すぎないか?
聞けばこの花束には蕾がなく、店としては早く処分したいものらしい。それに自動販売機は冷蔵庫並みの冷たさが維持されている為、そうした花束を保管しておくにも丁度いいと。そうなのか…
「会社帰りの人の多くがここで家族に花束を買っていく事から夕暮れ自動販売機なんて呼ばれているんですよ。先輩もどうですか?」
そういえば最近妻を労っていないな…日頃のありがとうと一緒に今日は花束を贈ってみよう。
公開:20/12/09 20:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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