探偵ジェイ(前編)

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掛巣【かけす】探偵事務所にグレーのスーツにマスク姿の女性が訪ねてきた時、消毒薬の匂いがした。
「この女性を探して欲しいのですが」
赤いバッグから出した写真は隠し撮りのようだった。
助手の谷地子【やちこ】がお茶を運んで客と掛巣の前に置いた。女性は鈴木貴子と名乗り、ここ掛巣探偵事務所がある東京都T市、T駅付近のオフィス街で働いているという。
「彼女は森川美来という名前です。T駅商店街にある喫茶kneeでウエイトレスをしていたのですが、突然いなくなったのです。彼女に会ってお礼をしたい事がありまして」
「分かりました。書類を作りますので少々お待ち下さい」
掛巣は谷地子に何かを耳打ちすると出掛けて行った。
「探して貰えるんですか」
「はい、こちらに必要事項を書いてお待ち下さい」
谷地子はサイズが合っていないスーツとデパートの紙袋を盗み見た。無理にかぶった黒いウィッグから赤い髪の毛がはみ出ていた。
ミステリー・推理
公開:20/12/09 14:30
掛巣(かけす) 英名Jay 鳴きまね上手 ダミ声 谷地子(ヤチコ) 雪加(セッカ) テーマ「鳥」 前編

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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