夕暮れ自動販売機

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会社から出る時、私は夕暮れ時のみ稼働している自動販売機で本を購入する。
その自動販売機は本の自動販売機でありながら本のタイトルも情報も出されていない。
自動販売機に表示されているのは個人名と顔写真である。
まるで選挙ポスターのようなそれを押すと、今、その人が読んで欲しい書籍を購入出来る。後日、本をきっかけに会話が繋がる。
電子書籍が普及している今だからこそ、本の温かみに触れて欲しいという社長の考えのもとで産まれた本の自動販売機。夕暮れ時にしか稼働していないのにも理由がある。
定時帰宅者に「夜、時間があれば本でもいかがかな?」と問いかけているのだ。
残業をしている者は家に帰っても本を読む余裕なんてない。しかし定時帰宅者には少なからず自分磨きの時間があるのではないか?という考えからこの時間にしか稼働していない。
というのは建前で、実際は社長が若い社員との会話のきっかけを探しているだけである。
公開:20/12/10 20:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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