『紅葉がひらり』

0
3

 そこはどこを見渡しても美しかった。
 黄色に赤色。上を見ても下を見てもその景色が広がっていた。
「こんなところがあったなんて」
 僕はその美しさに感動した。
「だよね。私も初めてここに来た時に君と同じ事を言ったよ」
 そう言って楽しそうに笑っているのは、僕の幼馴染だった。
 久しぶりに再会した僕らは彼女の提案である神社にやってきていた。そこは紅葉で有名な神社だった。
「こうして一緒に効用を見るのも久しぶりだね」
「そうだね。懐かしいよ」 
 僕らは一度だけ、子供の頃に一緒に紅葉を見たことがあった。その場所は、こんなに綺麗な紅葉だったわけではないけど、僕の心に今でも大切な思い出として残っている。
「あの約束覚えてる?」
 紅葉を見ていた彼女が振り返って言った。
「もちろん。覚えてるよ」
 その時、真っ赤な紅葉がひらりと舞った。
恋愛
公開:20/12/10 07:52

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容