天使たちの憂鬱

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鼻をほじりながら退屈を極めていた天使のもとへ、やることのないもうひとりの天使が姿を現した。

「ねえねえミカ。また関係ない世界を壊しにいかない?」
ガリエラが邪悪な笑顔を隠そうともせずに言った。

「もう飽きちまったよ」
ミカはつまらなさそうに返した。

『神』は自分が管理する世界については厳しいが、外宇宙のことにはまったく興味がないらしく、天使たちが何をしても、例え暴虐の限りを尽くしたとしても特に文句は言わなかった。

「そう? 気持ちいいじゃない。この世界じゃあ、やれ罪だの罰だの、『神』が定めたルールに従って人間を導かなきゃならないけれど、あっちじゃ自由自在。うんざりしないわ」

そこへ、もうひとりの天使がやってきた。
「『神』のマッサージをしてる間に二十万人ほど自殺しちゃったようだ。まいったね」

「お前が悪いんじゃないさ」
ラーファを慰めると、ミカは大あくびをして目尻に涙を溜めた。
ファンタジー
公開:20/12/10 07:00
更新:20/12/10 06:31

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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