濡れた犬

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己の怠惰のせいであると
生まれたうたさえ貧相であると
ぽつりとこぼす先もなし、
がなり立てる現実は、
わたしをたやすく叩き割る、
叩き割られたその“もと”は
いつ離れるともしれないが
どうにも無機物なもんで
燃えたり、腐ったりはしない
それどころか、切っ先で
所構わず、人構わず

おい、犬、わたしはもう疲れたぞ
美しい絵を見せておくれな
けれど、天使やら悪魔やら
頼む、眠るわたしを連れてくな

彼女のあの、言葉を
なんとかなる、大丈夫だと
そんな台詞を盾にして
今まできたもんだから

蝶々はきらきら飛んでてさ
ただ、それを捕まえて
捕まりゃしないか、
殺しやしないか

ただそれだけが怖いありさま

がたがた震える
濡れた犬

裸を見られた
濡れた犬
その他
公開:20/12/10 00:37
更新:20/12/10 01:00

kashiku

ショートショートや、詩を思いつき次第のっけます。



noteもやってます

https://note.com/machi_kashiku

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