O市との関係

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その日、父とO市に買い物へ出かけました。
ある交差点に入った時、激しい衝撃を受けたのを覚えています。

そこで不思議な体験をしました。
暗闇の中、見知らぬ少年が言ったのです。
「礼をしたい。できる限りお前を幸せにしてやる」と。
目が覚めると病院のベッドに寝ていました。
あの少年は誰だったのでしょうか…。

それからO市との関係が始まったように思います。
大学受験では、志望校は落ちましたが、O市の大学だけ合格しました。
就職活動では、辛うじてO市の一社だけ内定を頂きました。
妻とO市で出会い、O市で所帯を持ちました。

O市とは不思議な縁を感じてます。
もちろん、私は幸せですよ。

「そう。お前には私の力が及ぶ範囲で手を差し伸べた。お前の父が私を守ってくれたのだからな」

交差点の隅には小さな石の祠がありました。父はハンドルを切り続けたまま死亡したそうです。助手席の私が祠に衝突しないように。
ファンタジー
公開:20/12/08 06:39
更新:20/12/31 07:17

おおつき太郎

面白い文章が書けるように練習しています。
日々の生活の中で考えたこと、思いついたことを題材にしてあれこれ書いています。


Twitterはじめました。
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