写りが悪い
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ある日、男は未来を映すカメラを知人から譲り受けた。かなり古いアナログカメラで、レンズ越しに見る景色も歪んで見えていたが、レンズを通して見る景色はしっかりと未来を写していた。
例えばそれは一分後の景色だったり、三日後の景色だったりしたのだが、暇を持て余していた男は写真を撮らずにそのカメラのレンズからひたすら未来の景色をのぞいていた。
そして未来が現在になった頃、カメラの不調もとうとう本格的なものになってきた。
とはいえ男も身の回りの未来の景色を見るのには飽きてきて、そろそろ手放してもいいと思っていた頃でもある。
最後に覗く未来として、男は自宅を選んだ。
しかしレンズを覗こうとした時、とうとうレンズは何も写さなくなってしまった。
少々残念な別れとなってしまったが、男はカメラを捨てた。
一ヶ月後、男は事故で両目を失明した。
例えばそれは一分後の景色だったり、三日後の景色だったりしたのだが、暇を持て余していた男は写真を撮らずにそのカメラのレンズからひたすら未来の景色をのぞいていた。
そして未来が現在になった頃、カメラの不調もとうとう本格的なものになってきた。
とはいえ男も身の回りの未来の景色を見るのには飽きてきて、そろそろ手放してもいいと思っていた頃でもある。
最後に覗く未来として、男は自宅を選んだ。
しかしレンズを覗こうとした時、とうとうレンズは何も写さなくなってしまった。
少々残念な別れとなってしまったが、男はカメラを捨てた。
一ヶ月後、男は事故で両目を失明した。
その他
公開:20/12/07 20:44
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