カラクリ人形奇譚

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東北の山間にある九狗津村では(くぐつ=傀儡)にちなんで、人形職人が集まり世界をあっと言わせるカラクリ人形を造ろうという話になった。
完成した美女人形は、造形美の極致とも言える洗練された容姿であるばかりでなく、精巧な歯車の組み合わせがえも言われぬ女の妖艶な動きを再現するので、まるで生きているようだと評判になった。
クラリスと名付けられたこの人形は、たちまち世界中で話題となり、好事家が村を訪れては自分にこの人形を売って欲しいと切願するようになった。だが村のシンボルとなったクラリスが売られることはなかった。
ところがある日、そのクラリスが忽然と姿を消したのである。
そしてその翌日、人形蒐集家であり資産家でもある本郷氏の死体が貯水池の傍で発見された。氏は刺殺されていたのだが、そのちょうど横にクラリスが安置されており、その手にはナイフが握られていたという。
この事件の真相は今も謎のままである。
ホラー
公開:20/12/07 20:15
更新:20/12/07 21:02

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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