涙の真贋
0
2
涙が宝石になる。
ルビーにペリドット、サファイア、アメジスト……。あらゆる宝石が、涙の形となって私の瞳から溢れでる。
皆はそんな私を気持ち悪がって、碌に話すらしてくれなかった。家族ですらそうだった。
人々に疎まれ続けて、私は全てがイヤになり、家を飛び出した。
そんな私に声をかけてくれたのがアナタだった。アナタは、私の涙が宝石に変わるのを見て商売をしないか、と持ち掛けて来たのだ。
純粋に商売のためだけに声をかけて来たアナタに、私は好感を持った。関係性がサバサバしていると感じたからだ。
それから、私はウソ泣きの練習をして、いつでもどこでも涙の宝石を出せるようにした。
そうやって二〇年近く、私は嘘泣きをして、宝石を出し続けた。
だからだろうか。今、パートナーであるアナタの死に直面して、自分が流している涙が、その美しい輝きを放つ宝石が、本物なのかどうか、私には判断がつかないのだ。
ルビーにペリドット、サファイア、アメジスト……。あらゆる宝石が、涙の形となって私の瞳から溢れでる。
皆はそんな私を気持ち悪がって、碌に話すらしてくれなかった。家族ですらそうだった。
人々に疎まれ続けて、私は全てがイヤになり、家を飛び出した。
そんな私に声をかけてくれたのがアナタだった。アナタは、私の涙が宝石に変わるのを見て商売をしないか、と持ち掛けて来たのだ。
純粋に商売のためだけに声をかけて来たアナタに、私は好感を持った。関係性がサバサバしていると感じたからだ。
それから、私はウソ泣きの練習をして、いつでもどこでも涙の宝石を出せるようにした。
そうやって二〇年近く、私は嘘泣きをして、宝石を出し続けた。
だからだろうか。今、パートナーであるアナタの死に直面して、自分が流している涙が、その美しい輝きを放つ宝石が、本物なのかどうか、私には判断がつかないのだ。
ファンタジー
公開:20/12/09 08:07
マジックリアリズム
『幻想日和』
幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。
アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます