時間差口撃

0
1

長い人生の中で合コンの時間はあまりに短い。

今ここにエミリ嬢がグラスをガタガタ揺らし、歪めた口をプルプル震わせている。
ブヒッ、ブ、ブヒッ、
噴火。
ブワハァハァハハハハハハハ!
涙を流しお腹が痛いぃと苦しむ彼女をバックに男はガッツポーズを決める。エミリは俺のもの。俺が火を着けた。
完璧なウけ狙いの筋書きを用意した甲斐がある。
席決めで裏工作した甲斐がある。

笑い始めに少し豚が入ること以外に彼の知らなかった情報が一つある。
エミリ嬢の極度の思い出し笑い癖。
その二日前、電車で真正面に座った中年サラリーマンが自分の母親と全く同じ顔をしていたことを突然思い出したのだ。

男がエミリ嬢の真の破壊力を知るのは次に彼女と会う時である。
どこかでお会いしましたか?
あの日のこと笑いすぎて端からは端まですっきりこっきり吹き飛んだ。
その他
公開:24/10/01 16:12
更新:24/10/01 16:20

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容