そして私は射抜かれる

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だから来たくなかったのに。
修学旅行っていったってスキーだし、スキー研修だし。
滑れない私には拷問だ。

私はブツブツ呟きながらバスの中で寝る体勢を整えた。
だって乗り物酔いの激しい私にとって、バスなんて天敵でしかないもの。


……酔った、気持ち悪い、死ぬ。


案の定、私は激しい乗り物酔いに襲われた。

せっかくの修学旅行なのに!
あんまり楽しみにしてない修学旅行なのに!
それでも少しは楽しく過ごしたかったのに!


私を乗り物酔いに陥れたバスは目的地に着く。
グロッキーな状態のままバスを降りると、不意に何かが私の頭を触った。
振り向くとそこには集団の人混みの中にしゃがみこむ、誰かの姿。





誰かと目が合う。



それは弓道部のエース平野君。
「ごめん、髪はねてたから思わず直した」
彼は立ち上がると、柔らかい笑顔で私の髪を優しく整える。

やられた。
私の心も、射抜かれた。
青春
公開:20/12/08 18:31
更新:20/12/09 09:05

晶馨

令和1年大晦日からこちらで投稿しております。
令和2年6月から5ヶ月ほどお休みしてましたが、11月に出戻ってきました。
投稿頻度は遅いですが、自分のペースでゆっくり頑張ろうと思ってます。
現在、自宅がWi-Fiじゃないので返信は遅れると思いますが、色々感想など教えていただけると励みになりますので宜しくお願いします^^

(アイキャッチ画像が登録しても登録してもいつの間にか勝手に消えまして、今回は以前のプロフィール文まで消えました。自分のタブレットがおかしいのでしょうか。少々いや、かなり手間取っております(-_-;))

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