花粉症プラネタリウム

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 私立関紋高等学校で歴史を担当している柴田は、花粉症の季節になると、鼻から天体を飛ばすことで有名だ。
 基本的に教員の花粉症は生徒から嫌がられる。特に、柴田のような四〇過ぎの冴えないオッサンのくしゃみなんて普通は顰蹙物だ。
 ところが、彼がくしゃみをすると、マスクから月や太陽、彗星、星座に天の川まで、ありとあらゆる天体が、くしゃみをするたびに現れ、それがクラスの中を独特の軌道を描いて回るのである。即席のプラネタリウムだ。
 これが生徒からは受けがいい。まあ、クシャミから綺麗な惑星や天の川が出るのだから、その反応も分からないではない。
 ただ、これが出てしまうと、その後の授業は生徒たちのざわめきによって停滞してしまい、ちっとも進まなくなるので、柴田にとっては、悩みの種になっている。
 だが今のところ、薬で症状を緩和させるくらいしか改善策は見つからず、かなり困っているらしい、ともっぱらの噂だ。
ファンタジー
公開:20/12/06 13:22
マジックリアリズム 『幻想日和』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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