金平ごぼう救出作戦

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 昨日作った金平ごぼうを食べようと、冷蔵庫を開けたら、そこには雪原が広がっていた。
 雪が吹雪く中、物凄く遠くに金平ごぼうの入ったタッパーが光って見える。
 私は静かに冷蔵庫の扉を閉めた。
 仕事を頑張り過ぎて疲れてるんだ、きっと。うん、偉いぞ私!
 謎のセルフ褒めを展開してから、私はもう一度、冷蔵庫の扉を開けた。
 やっぱり雪原が広がっている。雪も相変わらず吹雪いている。
「いま夏なんですけど……」
 私は半袖Tシャツにジーンズという自分の姿を恨めし気に見つめたが、結局、冷蔵庫の中に入り、金平ごぼうを救出することにした。
 冷蔵庫の中は狭いので匍匐前進で進む。待っててよ、私の金平! 必ず助けるからね!
 そう勢い込んで進んでいたのだけれど、金平ごほうへの道はあまりに長く冷たかった。
 このままでは凍死すると思い、私は途中で引き返し、金平ごぼうを諦めた。
 残念だけど、命には代えられない。
ファンタジー
公開:20/12/06 13:07
マジックリアリズム 幻想日和

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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